スコットランドには全日制の日本人学校はありません。日本語補習授業校https://scotlandjapaneseschool.com/site/contact/ は週末土曜日の午前中だけ開校されています。
多くの方々は公立学校、私立学校にお子さんを入れることになると思います。音楽教育を重視して教えているインディペンダント・私立学校や、ドイツのシュタイナー教育の方針で教えている学校https://www.edinburghsteinerschool.org.uk/ もあります。私立学校によっては、スコットランドだけでなくイングランドのカリキュラムで教えている学校もあります。また、私立学校は全寮制、通学制と別れているところもあります。
ほとんどの学校は宗教的に中性の立場をとっています。数は多くありませんが、カトリックを重視している学校、ユダヤ教を重視している学校も公立学校の中に組み込まれています。学校教育の中では宗教の時間が必ずあり日本の道徳のような授業が行われます。また、少数言語であるゲール語を保護するという意味でゲール語で授業を行っている学校も存在します。
スコットランドの学校制度
スコットランドの義務教育はスコットランド政府が定めた独自のカリキュラム(カリキュラム・フォー・エクセレンスCurriculum for Excellence)に基づいて学校が運営されていて、イングランド・ウェールズ、北アイルランドと違う教育制度で教育が行われています。プライマリースクールは7年間(P1 から P7)、セカンダリースクール(ハイスクールとかアカデミーとも呼ばれる)が6年間(S1からS6)です。
イングランド(ナショナル・カリキュラム)とスコットランド(カリキュラムフォーエクセレンス)の相違点
従来からスコットランドのカリキュラムは広範囲にわたる教科を柔軟に教育することに重点を置いている点が挙げられます。これに反しイングランドは分野を絞って一つの分野を深く、専門性をもって教えることで少し違ってきます。スコットランド政府が教育のガイドラインを決めますが各学校は校長の権威の元に柔軟に調整することが許されています。しかし、健康で幸せな生活、読み書き、算数の能力を盛り込むことは必須となっています。この課題は以下のような方式で進められることが多く算数、国語、理科、社会、音楽、図工というように各科目が時間ごとに区切られて毎日教えられている日本の学校制度と多少違うので日本人の親御さんたちには子供たちが学校で一体何をやっているのかがわからない、見えにくいという印象を持たれる方も多いかもしれません。
*科目を個別に学習するのではなく、学期中にいくつかプロジェクトを設定してそのプロジェクトの中で多科目の技能、知識を伸ばしていきます。(例えば「日本」と、いうプロジェクトがあったとします。そこでは日本語であいさつ(外国語、文化)、俳句(言葉、詩)、折り紙の紹介(図工)、日本料理(家庭科)、そろばん(算数)、日本の歌(音楽)、ラジオ体操(体育)等々、教師が考えたカリキュラムが組まれます。)
*また、自分の住むローカルなことに気づかせそこに住む人々や地域について教えます。
*また、子供たちにどんなことに興味があり、学びたいことは何かを聞きます。
学習進度を表す基準
2013年から2016年に渡って新しく3つの学習進度資格が設けられました。これらはナショナル、ハイヤー、アドバンスハイヤーと呼ばれ段階があります。これらの進度に到達するために教室では教材を変えながら子供の能力によってグレードを上げていきます。ペアレント・ナイトと呼ばれる父兄会に行くと自分の子供がどの辺のレベルの勉強をしているのか知ることができます。
高学年
ナショナル1、ナショナル2(以前アクセス1,2と呼ばれていたものです)
ナショナル3(以前アクセス3、スタンダードグレードと呼ばれていたものです)
ナショナル4(以前スタンダードグレード(ジェネラルレベル)とインターミィディエイト1と呼ばれていたものです。)
ナショナル5(以前スタンダードグレード(クレジットレベル)、インターミィディエイト2と呼ばれていたものです。)
ハイヤー(新)以前のハイヤーが改訂されました
アドバンスハイヤー(新)以前のアドバンスハイヤーが改訂されました。
ほとんどの子供が15歳くらいでナショナルの試験に向けての勉強が始まります。大学進学を考えている場合は2年余分に勉強してハイヤーをとらなくてはいけません。また、アドバンスハイヤーは大学1年相当レベル、あるいは大学2年に編入するための資格試験です。
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以下はスコットランドと他の地方の学校制度を表にしたものです。
年齢 | イングランド、ウェールズ(ナショナルカリキュラム)) | 北アイルランド(北アイルランドカリキュラム | スコットランド(カリキュラムフォーエクセレンス |
4-5歳 | レセプション | Year 1 | P1 (Early level) |
5-6歳 | Year 1 | Year 2 | P2 (First level) |
6-7歳 | Year 2 | Year 3 | P3 (First level) |
7-8歳 | Year 3 | Year 4 | P4 (First level) |
8-9歳 | Year 4 | Year 5 | P5 (Second level) |
9-10歳 | Year 5 | Year 6 | P6 (Second level) |
10-11歳 | Year 6 | Year 7 | P7 (Second level) |
11-12歳 | Year 7 | Year 8 | S1 (Third/Fourth level) |
12-13歳 | Year 8 | Year 9 | S2 (Third/Fourth level) |
13-14歳 | Year 9 | Year 10 | S3 (Third/Fourth level) |
14-15歳 | Year 10 | Year 11 | S4 (Senior phase) |
15-16歳 | Year 11 | Year 12 | S5 (Senior phase) |
A-レベル と SCE ハイヤー は 義務教育ではない | |||
16-17歳 | Year 12 | Year 13 | S6 (Senior phase) |
17-18歳 | Year 13 | Year 14 |
低学年から
2017年からスコットランドではP1,P4,P7,S3の学年で読み書き、算数の能力テストが行われています。
評価
Early(プリスクールとP1程度)
First(P4までのレベル)
Second (P7までのレベル)
Third とFourth (S1とS3のレベル)
Senior Phase(S4とS6, カレッジ程度)
学齢以前のナーサリースクール(3、4歳から)
公立のナーサリスクールは9月に3歳になっているお子さんはナーサリースクールに入学することができます。ほどんどのナーサリースクールは半日だけです。自分の子供はまだナーサリーには早いと親が思う場合は、この時期を遅らすこともできます。通常9月1日から翌年2月末までオンラインで申し込みができます。締め切りが過ぎても5月中旬まで申し込みはできますがこの場合は後回しにされることが多いようです。5月中旬以降はオンラインではなく実際に申込書に書き込んで申請します。
公立のナーサリーは数が多くないので私立のナーサリーを探すことになるかもしれません。
幼児保育ナーサリー(生後6か月くらいから)
働く女性の増加で生まれてすぐに新生児を預かってくれる保育園・託児所ナーサリーがあります。これはほとんどプライベートの保育園です。産休後に職場復帰を考えている女性はどこにどんなナーサリーがあるか調べておくとよいでしょう。(大学関係者、NHS関係者、大企業では職場の近くに独自に保育園を経営している場合があります。)
プレイグループ
教会のホールなどを利用してボランティアで組織したプレイグループがあります。母親が手伝うので費用は安く、母親にとっても自分の子供の様子を見て、他の子供との協調の様子を観察できるので安心できるという面があります。家庭にやってくるヘルスビジターなどに聞いてどこにプレイグループがあるか確かめるといいでしょう。