
前回はロックの転換期と言われる1960年代初期~中期頃までのバンドブーム、ブルースロック、サイケデリックロックを追いかけてみました。
今回はそれから更に変容したプログレッシブロックからスタートし、ハードロック、パンクバンドの出現してくる1970年代までの移り変わりをご案内していきます。このジャンルではアメリカよりイギリスのバンドが有名なようです。
プログレッシブロック:
1960年代中期~後半に掛け、それまでのステージで演奏し観客も踊るというロック・ミュージックスタイルから、スタジオ演奏を中心にジャズやクラシックの要素を取り入れたアート性の高い、‘聴かせる’音楽を作り上げるバンドが台頭してきます。またそれに伴いコンサートも音楽と映像を駆使し大規模なものに変化を遂げていきます。このようなジャンルを進歩的・革新的なロックとしてプログレッシブロックと呼んでいます。従来LPレコードは、シングル盤になったヒット曲や、これからヒットを狙った曲などを集めた、A・B両面に何曲も入ったものが主流でしたが、丸々1曲が1面となるようなレコードアルバムも作られてきます。
今回はピンク・フロイドやキング・クリムゾン、イエスなど代表的な英国のプログレッシブロックバンドのレコードジャケットをご紹介させて頂きます。
ちなみにキング・クリムゾンのアルバム、イン・ザ・コート・オブ・クリムゾン・キング(クリムゾン・キングの宮殿)A面1曲目「21st センチュリー・スキッツォイド・マン」はつい最近イギリスのTVコマーシャル(某有名ブランドの香水)で使われていました。
カバー・バージョンではあったものの、50年前の曲なのに!と驚きました。

ハードロック、そしてパンクロックへ:
1960年代後半から70年代初頭には、音質がよりヘビーとなり、インプロビゼーション(即興演奏・アドリブ)を取り入れたハードロックの原型バンドが出現して来ます。レッド・ツエッペリン、ディープ・パープル、ザ・フーなどが代表です。当時の流行曲、ディープ・パープルのスモーク・オン・ザ・ウォーターの有名なイントロ「ジャッ・ジャッ・ジャー、ジャッ・ジャジャジャー」などは一度はお聞きになった事があるのではないでしょうか?
さらに1970年代後半にかけて、それまでの「ギターテクニックが上手い=クールだ、格好良い!」或いは「1曲が壮大なテーマを持って20~30分もある」というようなアート性を重視したものから一線を画し、「演奏は技術的に簡単、メロディー的にも分かり易く、世相を反映したメッセージ性のある」音楽が台頭してきます。
また、バンドのプロデュースを有名なファッションデザイナーが手掛けたりと、音楽性もさることながら若者のファッション的な要素も取り入れた、いわゆるパンクロック時代の幕開けです。コンサート会場もプログレッシブロックの大規模なものから小規模なもの(例えばパブなどで)に変わっていきます。
次にご紹介するアルバムは、英国ハードロックの代表格、レッド・ツエッペリンとブラック・サバス、そしてパンクロックからはセックス・ピストルズ、ザ・クラッシュのものです。
レッド・ツェッペリンの4作目アルバムIVは名曲、ステアウェイ・トゥー・ヘブン(天国への階段)が入っています。クラッシュのアルバムはジャケットデザインがエルビス・プレスリーのデビューアルバム(1956年)のパクリ、あるいはオマージュかと言われています。ご興味ある方は「クラッシュ、エルビス、アルバムジャケット」でネット検索して見て下さい。直ぐにヒットします。

変形ジャケット:
そして次はこの時代のレコードジャケットの中でも変り種、特殊な変形ものを紹介します。
ザ・ローリング・ストーンズのジャケットのジーンズについているジッパーは本物の金具で出来ていて実際にジッパーを開ける事ができます。でも私は壊すかも知れないと思い、触らずのままです。
ファミリーのジャケットは5層に開きます。スモール・フェイセズは珍しい円形ジャケットで、しかも中を開くと大きくLPレコード4枚分のサイズ(12インチx4)に広がります。

有名デザイナー/イラストレーターによるジャケット:
そしてRoger Deanというイギリスの有名デザイナーが作成したアルバムジャケットのうちの2作品を。どちらも似たような作風、雰囲気が出ていると思います。
また、この人のイラスト以外の作品ではSea Urchin Chair (ウニの椅子?)が有名です。こちらもご興味のある方はネット検索して頂くと直ぐにヒットするはずです。

最後に、日本人で長岡秀星(1936年生-2015年没)という国際的に活躍したイラストレーターが手がけたレコードジャケットをご紹介します。ビートルズのポップセンスを受け継いだと言われる、エレクトリック・ライト・オーケストラ(略してELO)バンドのゲートフォールド(2面見開き)アルバムから、そしてもう1枚はカーペンターズ、こちらは3面の見開き大型アルバムとなります。他にもアース・ウィンド・アンド・ファイアーの作品など多数手掛けられています。この事をRPMミュージック(←詳細は前回までの記事をご覧下さい)のスタッフに説明した時はちょっとした自慢でした!

最後のカーペンターズは今回ご紹介した中で唯一のアメリカのグループでした。
宜しければまた次回もお付き合い下さい。
それでは、また。
Yoshi : 北東イングランド在住の某メーカー系商社駐在員
【語彙集】 LPレコード Long playing record ブルースロック Blues rock サイケデリックロック Psychedelic rock プログレッシブロック (略してプログレ) Progressive rock