皆さんは「1960~70年代の英国の有名なバンドやアーティストは?」と聞かれたらどんな名前を想像しますか。
ビートルズを筆頭に、ローリング・ストーンズ、ピンク・フロイド、ザ・フー、レッド・ツェッペリン、デビッド・ボーイ、エリック・クラプトンなどの名前が挙がってくるでしょうか。
中古・希少レコードの世界はアンティークのようなもので、1960~70年代のバンドやアーティストの初盤(ファースト・プレス)から初期~中期もの(アーリー・プレス)が中心となります。
前回はレアレコード・プライスガイドブック「Record Collector- Rare Record Price Guide」に少し触れましたが、今回はビートルズなど有名なバンドのアルバムを例としてレコードの見分け方を紹介させて頂きます。
まずは、ジャケットが印象的なビートルズの1963年発売、英国盤レコードアルバム2作目”ウィズ・ザ・ビートルズ” ステレオ盤です。

こちら↓はレアレコード・プライスガイドブックの同アルバムについての記載です(赤枠箇所)。

たった数行ですが、ここから読み取れる内容を左から順番に並べて見ます。
- レコード発売年1963年
- レコード会社 Parlophone社
初盤、ファースト・プレス(First pressing)の条件として…
- レコードNo. PCS3045(レーベル中央右①)
- レーベル:黒&黄色バーション(②)
- Recording first publishedの表記有り(レーベル中央左③)
- Moneyという曲のクレジット名がJobete(レーベル中央下④)
- スリーブ(=レコードジャケット)印刷会社G&L社若しくはE.J.Day社(スリーブ裏面右下⑤)
- 大きめのstereo表示(スリーブ表面右上⑥)
- 金額相場:250ポンド(※コンディションがニアミント=新品同様の場合)
以下の写真は上記の情報に合致した現物の該当箇所となります(赤枠箇所)

次に、同世代のレコードのファースト・プレスとレイト・プレス(later pressing)の例を挙げてみます。
[レッド・ツェッペリン: 「聖なる館」Houses of the Holy] 1973年
ファースト・プレスには無いが、レイト・プレスにはWロゴマークがある。

[レッド・ツェッペリン: Ⅳ] 1971年
ファースト・プレスレーベルの色はオレンジ&プラム、レイト・プレスはグリーン+オレンジ。

[ザ・フー: 「ライヴ・アット・リーズ」Live at Leeds] 1970年
ファースト・プレスのタイトルは黒、レイト・プレスは赤(青も有り)。

[ピンク・フロイド: 「狂気」The Dark Side of the Moon] 1973年
レコードレーベルデザイン、左がファースト・プレス、右がレイト・プレス。

レコードのコンディションの見分けも大事な点です。状態の良し悪しで順番に(Bad、Poor、Fair、Good、Very good、Excellent、Mint)とグレードが分けられ、これが価格決定に大きく左右します。
少しマニアックな世界に入りましたが、それでも半世紀近く前のレコードとガイドブックの情報を見比べて、それがピッタリ合致した時の感激はなかなかのものです。
もし何かのレコードに興味をもたれた場合は、今はオンラインの購入も勿論可能ですが、このようなコンディションの問題も重要なので、できれば贔屓のお店を見つけ実際に現物を見る事をお薦めします。
私はRPM MUSICでこのような御宝の現物を見ながらスタッフからの生きた授業(ライブ・レッスン)を受け、気が付けばいつの間にかこの世界の深みに入り込んでいました。ここのスタッフはいつでも喜んで相談に載ってくれますし、価格についてもとても良心的で妥当価格だと思います。最初に通いだした頃はそこが一番に気に入った点でした。先日、しばらくぶりにお店に立ち寄ってみました。お店のドアは閉まっていますが、「クリック&コレクト」(オンラインオーダー⇒ピックアップor郵送)という条件で現在も営業しています。

右上は2階の倉庫の写真です。目当てのレコードが店内になくても、ここに気軽に案内して貰えます。私など1~2時間はあっと言う間に過ぎてしまうことが度々です。同店のFacebook URLは以下です。ご興味あれば是非どうぞ。
www.facebook.com/thecuttingedgeofvinyl
もし皆さんも昔のレコードをお持ちなら一度確認されてみては如何ですか?
ガイドブックがなくても今の時代、簡単にネットで相場検索ができます。英国盤もそうですが日本盤も希少価値があり、グローバルに高額な値段で取引されています。ひょとしたらとんでもない御宝かも知れません!
次回はまた違う角度から英国盤レコードの世界をご案内できればと思います。宜しければまたお付き合い下さい。
それでは、また。
Yoshi : 北東イングランド在住の某メーカー系商社駐在員